トランプ米大統領はたびたび、中国との貿易関係を一新したいという理想と、妥協を探りたいというビジネスマンとしての直感との間で葛藤しているようだ。株式相場が荒れた10月を経て、中間選挙を数日後に控えた現在、トランプ氏はディールメーカーとしての姿勢を強めているもようだ。

「中国とディールを成立させる。みんなにとって、とてもフェアなディールになると思う」とトランプ氏は2日に記者団に話した。その前日には、今月行われる中国の習近平国家主席との会談に備え、貿易協議で想定される条件の草稿を作成するよう重要閣僚に求めている。トランプ氏は両国が「何かをしようと大きく近づいている」と述べた。

トランプ大統領と習近平国家主席、2017年11月9日、撮影: Qilai Shen/Bloomberg

しかしその「何か」が有意なものにならなければ、トランプ氏自身の信条や政権内の対中強硬派を納得させられないため、状況は単純には行かない可能性がある。

習近平国家主席は上海で開かれる中国国際輸入博覧会(輸入博)で5日に基調演説を予定しており、米中貿易の行方について示唆を与える可能性がある。しかしながらホワイトハウスの協議に詳しい複数のアナリストらは、米中首脳会談で何らかの合意がまとまったとしても、貿易戦争は一時停戦としての形式になる可能性が高く、最終的な和平には至らないとみている。

停戦合意は恐らく、高官レベルでの交渉が行われている間は追加関税を発動しないという約束になると考えられており、これまで発動した関税の一部解除でも合意する可能性もある。

原題:Trump-Xi Trade Deal Is Likely to Begin Rather Than End at G-20(抜粋)