小泉進次郎氏が推進しようとしている国会改革が頓挫しているようだ。読売新聞(Web版)によると、7日に予定されていた「衆議院改革実現のためのPT」の初会合が8日に延期された。理由は小泉氏の根回し不足。同紙によると小泉氏は6日、記者団に「自民党に、党として(国会改革に向けて)動く場が立ち上がることは大きな意味がある」とPT設置の意義を強調していた。しかし、PTに参加するメンバーを巡って一部議員が反発し、初会合は見送りに。小泉氏は、自らの呼びかけで発足した超党派の「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」が7月にまとめた改革案について、党執行部の「お墨付き」を得た上で野党に協力を求める戦略を描いていたが、出ばなをくじかれたとある。こんなことでは政治はますます時代に取り残される。
国会改革の必要性を感じているのは小泉氏だけではないだろう。与野党を含めて多くの人がそう思っている。メディアも評論家も学者も国会改革に異論はないはずだ。何よりそれを一番願っているのは国民ではないか。いま開かれている臨時国会の最大のテーマは外国人労働者を受け入れるための出入国管理法改正案。政府・自民党が深刻な人手不足に対応するため、これまで認められていなかった単純労働者の受け入れを認める。極めて大きな政策転換である。そのために「特定技能」の「1号」と「2号」という、新たな在留資格を設けることが盛り込まれている。この法案は来週から司法委員会で審議される予定だが、審議入り前にはやくも法案を通す、通さないで与野党の駆け引きが始まっている。自民党は衆院で強行採決も辞さない構えで、月内にも衆院を通過させたいらしい。
重要法案になるといつもこうだ。審議が始まる前に通す、通さない、の駆け引きである。言語も文化も習慣も違う日本で、外国人労働者に気持ち良く働いてもらうために何が必要か、与野党とも胸襟を開いて議論すべきなのに、喧嘩腰の駆け引きだけがまかり通っている。今度の法案は詳細が全く決まっていないために野党が主張するように“拙速”であることは確かだ。年金や健康保険、永住権との関係など肝心なことが何も決まっていない。立憲民主党の長妻氏が主張するように「からっぽの法案」である。ただ一方で、地方や中小企業を中心に労働力不足は深刻になっているのも事実。制度がきれいに立ち上がるまで待てないという事情もある。一方で、現行の「技能実習制度」には様々な問題がつきまとっている。だから通す、通さないとなるのだが、政治には走りながら考えるしかない側面もある。議論して解決するしかないが、与野党は噛み合わない。小泉氏にこのギャップを埋める国会改革を求めても詮無い話か。日本の国会、うんざりすることばかりである。
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