韓国政府が慰安婦財団の解散を正式に発表した。日本政府は河野外務大臣がすかさずコメントを発表、「日韓合意に照らし問題であり、到底受け入れられない。合意の着実な実施は国際社会に対する責務だ」(産経新聞)と不快感を露わにした。一人の平凡な市民としてもその通りだと思う。河野外相に限らず安倍首相、与野党を問わず日韓関係の改善に尽力している人たちの多くがそう思っているだろう。日本が財団に10億円を拠出し、元慰安婦らを支援する枠組みは政府と政府が取り交わした約束である。その約束を政権が変わったからといって、手のひらを覆すように破棄する行為は先進国の外交関係とはおよそ言い難い。その手のひら返しを文在寅(ムンジェイン)政権は平気でやる。これでは安定した外交関係を維持することなどできるわけがない。

慰安婦財団の解散だけではない。韓国の国会議員が竹島に上陸、日本人の感情を逆なでにする。最高裁判所は徴用工に対する損害賠償の支払いを命じ、1965年に締結された日韓条約を一方的に無視した判決を言い渡した。時事通信によると韓国海洋警察庁の警備艦が20日夜に、「日本の排他的経済水域(EEZ)内で操業していた日本漁船に対し、操業停止と他の海域への移動を要求した」という。海上保安庁の巡視船が駆けつけて日本の漁船を守ったとはいえ、どうして韓国の海洋警察は日本の領海で操業している日本の漁船に「出て行け」と命令できるのか。韓国にまつわる最近のニュースを見ていると、すべからく常軌を逸しているような気がする。悪く解釈すれば文大統領は、国内の不満を回避するために日本敵視政策に踏み切ったとしかいいようがない。目的は自らの支持率回復だ。トランプ大統領に負けず劣らす“自分本意主義”である。

こんなことを書いていると、個人的にもどんどん感情論が先走っていく。韓国社会を覆っている空気もこれに似た感情論だろう。敵視するのはもちろん日本だ。韓国社会がうまくいかないのは日本のせいだ。そんな感情論で溢れているのではないか。朴槿惠前政権の失政を受けて登場した文在寅氏は、労働者の所得を引き上げることによって消費を回復し、韓国経済の再生を目指している。これが所得主導型成長政策である。労働者の支持を得ながら韓国経済の再生を図るというものだが、最低賃金を一気に大幅に引き上げたため中小企業の経営が立ちいかなくなり、若者中心に失業率が上昇、逆に韓国経済の低迷を招いているのである。その不満が対日敵視政策となって様々な政策に反映され始めている。感情論に対応する妙案はない。感情的にならないことが唯一の特効薬だろう。