[ニューヨーク 5日 ロイター] – ニューヨーク外為市場ではドルがやや上昇した。米国債市場で一部の年限で期間の長い金利が短い金利を下回る逆イールドが発生したことに起因する米景気後退懸念でユーロと円が押し上げられていたが、こうした動きが緩和したことでドルは上向いた。

終盤の取引までにドルは対円JPY=で0.35%上昇。ユーロは対ドルEUR=で当初は上昇していたが、その後上げ幅を縮小し、ほぼ横ばいとなっている。

ドルは今週初め、米中貿易戦争の「休戦」への期待から安全資産としての需要が減退したことで下落。米債券市場の動向から米経済成長に対する懸念が台頭したこともドル相場の重しとなっていた。ただ、米中の通商問題の解決を巡る先行き不透明感がなお払しょくされていないことがドル相場を下支えする地合いとなっている。

OANDA(トロント)の市場分析担当バイスプレジデント、ディーン・ポップルウェル氏は「主要10カ国(G10)の通貨に対しドルは狭いレンジの範囲にとどまっている」とし、「世界的な株式市場のボラティリティーが高い状態が続き、投資家の間で来年の米利上げに関する見通しの調整が続くなか、ドル相場は安全資産を巡るさまざまな動きに翻弄されている」と述べた。

ロイターはこの日、関係筋の話として、欧州中央銀行(ECB)の政策担当者が来年に景気刺激策を段階的に解除していく具体的な方法について討議していると報道。これを受けユーロは上昇したが、長続きしなかった。

テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、フアン・ペレス氏は「他の通貨が回復するにつれドルは下落するとの見方も出ているが、ファンダメンタルズが関与しているわけではないため、ドルの優位性の終わりは見えていない」と述べた。

中国経済の成長に敏感に反応するとされる豪ドルは対米ドルAUD=D4で0.97%安。カナダドルは対米ドルで約1年半ぶりの安値を付けた。カナダ銀行(中銀)はこの日、政策金利を予想通り1.75%に据え置くことを決定し、将来の利上げペースを巡り慎重さが増す可能性を表明。これを受け今後の利上げ観測が後退したことがカナダドルの下落につながった。

ドル/円
NY午後4時 113.22/113.23
始値 112.94
高値 113.24
安値 112.94

ユーロ/ドル
NY午後4時 1.1344/1.1346
始値 1.1353
高値 1.1361
安値 1.1312