自動運転車の頭脳にあたる基本ソフト(OS)の開発で、日本を中心に欧米、アジアの企業が連携する。OSの普及促進を担う団体を設立し、トヨタ自動車の子会社や英半導体設計のアーム・ホールディングス、名古屋大学など約20の企業や団体が加わった。技術や知見を持ち寄り、自動運転技術で先行する米グーグルなどに対抗する。

 自動運転車のOSは路上や周囲の物体認識、位置の特定、経路設定などの機能を統合する役割を果たし、実用化に向けたカギを握る。グーグル系の米ウェイモや中国のIT(情報技術)大手、百度(バイドゥ)なども開発を進めてきた。

 今回、約20の企業や団体が参画し一般社団法人「オートウエアファンデーション」を設立した。10日にも発表する。名古屋大や産業技術総合研究所などが開発したOS「オートウエア」の普及に向け、開発の管理や安全規格の取得、商標管理といった役割を担う。

 自動運転技術を開発するトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(東京・中央)やアームに加え、韓国のLG電子、自動運転車に使う部品の有力メーカーである米ベロダインなどが参画した。

 ウェイモなどはOSの独自開発にこだわるのに対し、オートウエアはソフトを誰でも改良し無償で利用できるオープンソースと呼ぶ形式を取る。幅広い技術や知見を持ち寄る狙いで、現在100社以上が実験などに使っている。普及活動は従来、開発者が設立したティアフォー(名古屋市)が担ってきたが、業務の一部を新団体に移し加速する。

 自動運転車の開発ではウェイモが先行し、今月初めには米アリゾナ州で配車サービスを始めたと発表した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は2016年にこの分野のスタートアップ企業を約10億ドル(約1100億円)で傘下に収め、さらにソフトバンクグループホンダから出資を受けるなどM&A(合併・買収)を含む企業の合従連衡が盛んになっている。