政府は、今後5年分の防衛費の総額の規模を定める、中期防衛力整備計画について、護衛艦を事実上、「空母化」する改修などを盛り込み、総額は過去最大の27兆円台半ばになる見通しです。

今の安全保障環境を踏まえた防衛力の水準を定める、新たな「防衛計画の大綱」の内容が固まったことを受けて、政府は、具体的な装備品から、今後5年分の防衛費の総額の規模を定める中期防衛力整備計画について、与党との間で最終的な調整を進めています。

計画には、日本周辺の太平洋海域の防衛力強化のため、自衛隊最大の護衛艦「いずも」を事実上、「空母化」する改修や、これに搭載できる、短い滑走路でも離陸し、垂直に着陸できる最新鋭のステルス戦闘機、F35Bの導入、それに、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備などが盛り込まれています。

こうした新たな装備に加え、これまでに調達した装備などのローンにあたる「後年度負担」もあるため、5年間で必要な防衛費の規模は、今の計画より2兆円余り増え、過去最大の27兆円台半ばになる見通しです。

このうち、F35Bや「イージス・アショア」などは、アメリカ政府が直接販売する、FMS=対外有償軍事援助で導入する方針です。

FMSをめぐっては、価格がアメリカ政府の「言い値」になりやすく、日本にとっては不利だとの指摘があることから、政府は、厳しい財政状況を踏まえ、アメリカ政府に価格を下げるよう交渉するとともに、幅広い装備品で調達改革を進め、2兆円前後の費用圧縮を目指したいとしています。