年末になっていろいろなことが起こっている。韓国の駆逐艦が自衛隊の哨戒機にレーザー照射するという大事件が突発。これより前にゴーン容疑者の再々逮捕が東京地裁で却下され、東京地検が特別背任で新たに逮捕する事態に発展した。きょうはまず、ゴーン容疑者をめぐる騒動を取り上げる。守銭奴・ゴーン容疑者は本当に経営者として能力があるのだろうか。世間で喧伝されている再々逮捕をめぐる騒動を眺めながら、そんなことを考えてしまう。そして、それ以上に重要だと思うのはこの問題と外圧の関係だ。被疑者の拘束が長期にわたるに及んで、海外から日本の捜査手続きに対する批判が強まっている。これを受けて東京地裁は、被疑者の報酬に関する不記載という金商法違反での再々逮捕を認めなかった。一心同体ともいうべき東京地検と東京地裁の間に亀裂が入ったのである。

東京地裁は東京地検の準抗告も蹴った。これを受けてメディアはゴーン容疑者の釈放説をこれ見よがしに報道した。そして事態は急展開する。東京地検はゴーン容疑者を特別背任の疑いで新たに逮捕したのである。東京地裁もさすがにこれは認めざるを得なかった。簡単に振り返ればこんな流れである。個人的な感想いえば、東京地裁は外圧で大きくブレたと思う。この裏には最高裁の判断が働いているのだろう。この判断が通ってゴーン容疑者が釈放されれば、問題の本筋はトップの違法性から法的に認められている国内の法手続きの妥当性に、焦点がすり替わる危険性があった。個人的には今回の地検の決断を支持する。検察の捜査方法に問題がないとは言わない。ただそれはこの事件の区切りがついた段階で検討すべき事柄だ。いまはゴーン容疑者の違法性の立証に全力を挙げるべきだ。

この事件の報道を見ながら腹立たしく思うのは、ゴーン氏はどうしてCEOの報酬を欧米の基準に合わせようとしたのか、という点である。日産は日本の会社である。自動車メーカーとしてトップを走るトヨタの豊田章男社長の報酬は、ブルーンバーグによると年間3億8000万円である。日本のトップの報酬は世界と比べればかなり低い。ゴーン氏はまずそのことを考えるべきだった。同じくCEOを務めるルノーは社内調査の結果、違法性は見つからなかったとしている。ゴーン容疑者はルノーではきちっと法律を守っているのだろう。反対に日本では日産を“財布”代わりに利用していた。市場経済はいま格差拡大が大問題になっている。トップの報酬だけをみればグーグルのピチャイ氏が158億円、アップルのクック氏が108億円。日本は無原則なトップの報酬にビレーキをかけている唯一の先進国だ。ゴーン容疑者の犯罪を立証し、“日本モデル”を世界に知らしめるためには、地検に頑張ってもらうしかない。