経済3団体は7日、合同で恒例の新年祝賀会を開催した。日本企業のトップが集まる。ここで経営者の景気認識を取材した日経新聞は「企業トップ、景気持続にちらつく不安 外需に不透明感」との見出しで朝刊に掲載している。この見出しからにじみ出るのは「不安」と「不透明感」。おそらく経営者の多くが共有している景況感だろう。連日米中貿易摩擦に絡んだニュースが報道され、日韓の衝突、メキシコ国境の壁をめぐる米議会の混乱など暗いニュースが多い中で、経営者のマインドが慎重になるのは否めない。だからこそ春には大幅に賃上げするとぶち上げる経営者はいない。日経新聞は「19年になっても経営者心理が大きく崩れているわけではないが、外需の不安が強まれば投資意欲が下がる恐れはある」と総括する。
景気はマインドに左右される。将来に対する心配ばかりしていると、本当に将来が暗くなる。スポーツ選手を見習うべきだ。一昔前まで日本のスポーツ選手の大半が、結果について慎重派な発言をしていた。最近の選手は違う。正々堂々と「オリンピックで金メダルを目指します」という。なんの衒いもためらいもない。そのための猛練習を積み重ね、自分に対する自信が体と技術を支えているのだろう。心技体が揃えば自然と発言は強気なる。そしてその通りの結果を出している。19年の年明け早々錦織が豪州オープンで優勝し、オーストリアで開かれたノルディック・ジャンプでは小林陵侑が優勝した。この優勝は67回目のジャンプ週間で史上3度目となる4戦4勝の完全制覇だ。サッカーで言えばWカップに優勝したようなものだ。とにかく凄い。
翻って日本の経営者はどうか?日経新聞によると「トヨタ自動車の豊田章男社長は19年の景気を『天気予報でいうと努力して曇りだ。延長線上に未来はない』と危機感を募らせる」とある。多くの経営者が似たり寄ったりだ。みな疑心暗鬼だ。行動経済学を持ち出すまでもなく景気は消費者や経営者の心理によって変わる。みなが弱気になれば景気も低迷に向かう。だからこそ経営者は弱気になってはだめだ。「不安」と「不透明感」を打ち消すために春闘で大幅なベアを実施すればいい。それによって消費者の生活に余裕が生まれ、消費が拡大する。好循環がはじまる。ブラック・ストーンの副社長であるウィーン氏の「ビッックリ予想」というのがある。それをキャリーしたブルームバーグによると同氏の予想では、「米中の通商交渉は1−3月にまとまり、ドルは安定し、中国株が新興国市場の上昇を主導し、英国はEU残留を決める」とある。果たして2019年は……。