今朝目に付いたのは、世耕経産相がスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、カルロス・ゴーン被告の捜査に対する海外からの批判について反論した記事だ。彼は言う。「各国の司法制度は歴史上の成り立ちがそれぞれ違う。一部を切り取った議論はフェアではない」と反論した。個人的には日本の司法制度にいろいろな問題があると思っている。もっとも大きいのは検察や警察が起訴した事案は99.9%有罪になることだ。裁判所は検察のいいなりにみえる。有罪の可能性が高い事案しか起訴しないとすれば、どうしてかくも冤罪事件が多いのか。捜査段階で有罪を認めても、裁判になると無実を主張する被告も多い。海外メディアもそこを衝いて日本の司法制度を批判してくる。
世耕経産相の発言はこうした海外勢の批判に対する反論である。その視点は①司法制度は各国固有の歴史の上に成り立っていること②部分を切り取って批判するのはフェアでないーの2点だ。この視点に異論はない。特に最近のニュースを見ていると②の部分を拡大した批判や主張が多い気がして仕方がない。例えば昨日、韓国国防省は自衛隊の哨戒機が度々低空飛行をして韓国の艦船を威嚇していると日本を非難した。その証拠として自衛隊機と思しき飛行機が韓国船のマストと思しき柱の先に写っている写真を公開した。これをみて直感的に思ったのは「これが脅威?」という疑問だ。この写真は「一部を切り取って」ズームアップしているように見える。脅威の全体が写っていない。肝心の海と韓国艦と自衛隊機の全体像がわからないのだ。
韓国国防省は本当にこれで国内外の世論にアピールできると思っているのだろうか。お粗末の一語に尽きる。政治の世界は国内外を問わず批判と反論の繰り返しだ。そして批判の多くが実は今回の韓国のように、一部を切り取った勝手な解釈で成り立っている。韓国の主張もそうした潮流に沿った言いがかりみたいなものだ。言いがかりに対して反論するのは意外に難しい。喧嘩で激昂すれば双方が感情的になり、批判も反論も論理性を失い、声と相手を威嚇する圧力だけが異常に高まる。今の韓国の国防関係者はそんな雰囲気にはまっているのかもしれない。自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長はきのうの記者会見で、「われわれは韓国側に冷静な対応を求めたい」(時事通信)と発言している。こんな声ももはや韓国には届かないのだろう。
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