[1日 ロイター] – 米労働省が1日発表した1月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、2018年2月以来、11カ月ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想は16万5000人増だった。米連邦準備理事会(FRB)が今後の景気見通しを理由に利上げに慎重な姿勢を示す中でも経済が基調的な底堅さを保っていることを示唆した。 失業率は0.1%ポイント上昇し、7カ月ぶりの高水準となる4.0%だった。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●政府機関閉鎖前の状況 
<チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏> 雇用者数は予想を大幅に超える伸びとなり、職に就く人が増えたことを表している。労働市場は経済で最も堅調な分野であることがあらためてうかがえる。しかしこれは政府機関が閉鎖する前の状況だ。 

●結果良好、ハト派化したFRBにとり最悪のタイミング 
<ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)の首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏> 雇用増は力強く、賃金の伸びも底堅く、過去数カ月分の数値もいくらか上方修正されるなど、今回の雇用統計はまたしても良好な結果となった。 
1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)でハト派的なスタンスを示した連邦準備理事会(FRB)にとってはこれ以上の悪いタイミングはない。 金融市場は向こう数日間、FRBが示したハト派的な見方は入手されたデータに対する反応だったのか、それとも同じデータに対するこれまでとは異なる反応だったのか、見極めることになる。 
FRBが今回のFOMCで示した見解がデータに対するハト派的な反応だったとすれば、その後たったの数日間でデータは改善したことになる。 

●賃金の伸び軟調、FRBの「忍耐強い」対応裏付け 
<クレディ・アグリコル(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、エリック・ビロリア氏> 雇用が力強く伸び、全般的に堅調な内容となったことで、ドル相場が即座に反応した。 ただ賃金の伸びが予想に届かなかったことで、連邦準備理事会(FRB)が1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で示した、利上げには「忍耐強く」対応するとの見解が裏付けられた。 

●労働市場は堅調、物価圧力は抑制 
<ステート・ストリート・グローバルアドバイザーズ(ボストン)の最高投資責任者(CIO)、マイケル・アローン氏> 雇用増は100カ月連続と、過去最長となった。今回の雇用統計は非農業部門雇用者の増加数が予想を上回るなど、最初から最後まで極めて底堅かった。 
時間当たりの平均賃金も伸び続けたが、インフレ懸念を示すものではなく、連邦準備理事会(FRB)による金利の道筋の変更につながるものではない。 
労働参加率は2013年以来の高水準となったほか、雇用増の裾野はかなり広く、極めて堅調な雇用統計となった。 
インフレ圧力が増すか見極めるため、市場では今後も時間当たりの平均賃金が注目される。賃金の伸びは前月と比べて軟化した。つまり、労働市場が引き続き堅調な中でもインフレ圧力は抑制されていることが示された。こうしたことは市場で歓迎される。 

●職探し動向や建設業の伸びに注目 
<アメリプライズ・フィナンシャル(ミシガン州)の主任エコノミスト、ラッセル・プライス氏> 市場の反応はいまいちだが、その理由として統計の振れが考えられる。11・12月分を合わせた雇用者数は7万人下方修正されており、市場は統計をならした全体像を把握しようとしている。 
個人的な見解としては、過去3カ月間で賃金は上昇しており、これまで様子見だった人々が職探しを始めている。これは家計のみならず雇用者の拡大を持続させる上でよいことだ。 
建設業の雇用者数が過去2カ月間で大幅に伸びていることも住宅市場にとって前向きな材料と受け止められる。 

●今年2回の利上げ予想、株式相場かなり好調に 
<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのシニア・グローバル・マーケット・ストラテジスト、サミール・サマナ氏> 賃金上昇ペースが加速しつつある。インフレや米連邦準備理事会(FRB)、利上げの道筋、企業の収益性に影響が及ぶので、注視していく必要がある。 
労働参加率が上向いたのは、就労を切望する人々がさらに現れたことをうかがわせる。インフレを起こさず、雇用を増やすことが可能で、こうした状況は常に歓迎すべきだ。 
全般に極めて健全な統計だったが、FRBのほか、好調な景気指標が出れば利上げ観測を明らかに意識する市場にとって何を意味するのかが本当の問題だ。当社は引き続き、今年2回の利上げを予想している。今回の内容もこうした予想と非常に整合がとれている。こうした状況下で、株式相場はかなり好調に推移する可能性があると引き続きみている。