[ワシントン 1日 ロイター] – 米労働省が1日発表した1月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、2018年2月以来、11カ月ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想は16万5000人増だった。米連邦準備理事会(FRB)が今後の景気見通しを理由に利上げに慎重な姿勢を示す中でも経済が基調的な底堅さを保っていることを示唆した。 

労働省によると、35日間に及んだ政府機関の一部閉鎖による雇用への「目に見える」影響は今回の統計に表れなかった。ただ史上最長期間となった政府閉鎖によって失業率は0.1%ポイント上昇し4.0%と、7カ月ぶりの高水準を付けた。政府閉鎖は1週間前に解除されたばかりだ。 

FRBは今週、不安定な金融市場や世界経済の減速など景気下振れリスクが高まる中、3年間に及ぶ利上げ政策を停止する可能性を示唆した。 

これについてMUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「FRBは年内の追加利上げにおじけづき、景気の先行きに関する判断を見誤っている」とした上で「米国企業は世界経済を巡るリスクが台頭する中でも人材採用の勢いを少しも緩めていない」と指摘した。 

18年11ー12月の雇用者数は計7万人下方改定された。労働人口の増加に対応するためには毎月10万人前後の雇用増が必要とされている。雇用増は100カ月連続。 

政府機関の一部閉鎖によって約38万人の職員が一時帰休となったが、トランプ米大統領はこうした職員への給与がさかのぼって支払われる法案に署名した。結果として、雇用統計上は一時帰休となった職員が1月に就業していたと見なされている。ただこうした職員は失業率を算出する別の調査では「一時解雇」で失業している者と見なされた。 

時間当たり賃金は前月比0.1%(3セント)増と前月の0.4%から伸びが鈍化した。前年同月比でも3.2%増と前月の3.3%から減速した。 

政府閉鎖の影響で、第4・四半期国内総生産(GDP)など、商務省が発表する主要な統計が依然として公表されていない中で、雇用統計は米経済が底堅さを保っていることを示す最も有力な証拠となった。 

こうした中、現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は8.1%と、前月の7.6%から上昇し11カ月ぶりの高水準となった。パートタイム労働者数が50万人増加したことが背景。政府機関の閉鎖が影響したとみられる。 

生産活動に従事し得る年齢の人口に占める働く意志を表明している人の割合、いわゆる労働参加率は63.2%に上昇し、約5年ぶりの高水準を記録した。 

雇用統計の内訳は、建設業が5万2000人増と、18年2月以来の大幅な伸びとなった。前月は2万8000人増だった。1月の気候が比較的暖かかったことが押し上げ要因だったとみられる。製造業は1万3000人増。前月の2万人増から鈍化した。レジャー・接客は7万4000人増。小売は2万0800人増。専門・ビジネスサービスは3万人増加した。政府部門は8000人増。ヘルスケア、運輸、倉庫、金融サービスも増加した。一方、公益、情報サービスは減少した。 

週平均労働時間は横ばいの34.5時間だった。