2019年春闘交渉が本格的にスタートした。連合は4日に闘争開始宣言中央総決起集会を開き、各労組は順次経営側に要求を提出する。ここ20年近く賃金が開いてきた大手と中小との賃金格差をどこまで解消できるかが焦点だ。

 ここ数年、政府が産業界に賃上げを要請する「官製春闘」が続いたが、今年は労使とも「脱・官製春闘」「脱・ベア(ベースアップ)重視」を掲げる。官製春闘は一定の結果を出したものの、2%台の賃上げ率にとどまっている。また、労働者の大半を占め、景気の底上げを大きく左右する中小労働者の賃上げ額は大手を下回る状態が続いてきた。

 連合は「2%程度」を基準とするベア要求を柱とする春闘闘争方針を打ち出したが、ベアを前面に掲げず、新たに社会横断的水準を示した。中小組合に対し大手の定期昇給に当たる「賃金カーブ維持相当分」に加え、賃金カーブ維持相当分とマクロの観点から大手との格差是正分を示したのが大きな違いだ。

 これに応えるように春闘相場をリードしてきたトヨタ自動車労組はベア要求額を示さず、グループ企業や下請企業、同業他社、他業種の労使が自主的に賃金を決めることを促す。自動車総連も前年は「3000円以上」と明記していたベア要求額について今年は明記しない。

 この背景には、昨年の春闘でトヨタ自動車の経営側がベアの妥結額を非公表とするよう労組に要請したことがある。経営側がベアに消極的なのは、ベアは一時金などと違い業績連動ではない上、月例賃金のほか社会保険料や退職金なども直接連動して上がるからだ。

 少子高齢化が急速に進み空前の人手不足が続く中、中小企業は人材確保が難しくなっている。日本のモノづくりを支える中小企業が人への投資ができるか。今春闘はその試金石となる。

 大企業と中小企業は「バリュチェーン」「サプライチェーン」で密接につながっている。好業績を背景とした内部留保を、日本の生命線である中小にも適正配分すべきである。