【サンパウロ山本太一】政情不安が続く南米ベネズエラのマドゥロ政権が5日、西部のコロンビアとの国境になっている橋を封鎖した。橋のコロンビア側の街ククタには、ベネズエラの野党指導者で暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長の求めに応じ、国際社会から届いた人道支援物資が搬入されている。グアイド氏は、独裁色を強めるマドゥロ大統領が物資輸送を妨げたと厳しく批判した。

 経済危機も深まるベネズエラでは、食糧や医薬品が慢性的に不足し、300万人が国外に避難している。コロンビア政府は5日、ベネズエラ国内に運ぶ支援物資の集積所をククタに設置したばかりだったが、マドゥロ政権が橋に大型コンテナやタンクローリーを置いて封鎖し、通過できなくなっている。

 グアイド氏は「ベネズエラ人の利益と幸福を考えない政権のばかげた反応」と封鎖を非難した。また、2000万ドル(約22億円)の人道支援拠出を約束した米国のポンペオ国務長官はツイッターで「政権は飢えている国民に支援が届くようにせよ」と求めた。

 一方でマドゥロ氏は、物資搬入が米国主導の介入につながるとして「侵略の兵士は一人も入らせない」と主張。マドゥロ氏は人道危機の存在も認めていない。【関連記事】