2月26日、ハノイの空港に到着したトランプ米大統領(左、ロイター)とベトナム・ドンダン駅に到着した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(共同)
2月26日、ハノイの空港に到着したトランプ米大統領(左、ロイター)とベトナム・ドンダン駅に到着した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(共同)

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は8日付の論評で、安倍晋三首相がトランプ米大統領に、ハノイで2月末に行われた米朝首脳再会談で日本人拉致問題を提起するよう要請したことを「主人のズボンの裾をつかんで見苦しく行動した」と名指しで非難した。

 また、「会談が意外にも合意文がなく終了したこと」を嘆く声が内外にあると描写し、北朝鮮メディアとして初めて合意見送りの事実を報じた。

 論評は、安倍首相や河野太郎外相が米国に「拉致問題解決の意思を北朝鮮に伝えてほしいと哀願した」と指摘。「自分たちに有利な方向に米国を動かすロビー工作」に注力し、会談を邪魔立てしたとの不満を表した。

 安倍首相が金正恩(キム・ジョンウン)党委員長との直接会談に改めて意欲を表明したことに関しては、日本を「相手にして少しも得るものがない」と主張。「過去の罪悪」への賠償を要求した。

 一方、朝鮮中央通信は7日、米韓両軍が終了を決めた定例の合同指揮所演習「キー・リゾルブ」に代え、規模を縮小して4日から始めた新演習に対し、米朝や南北の合意への「乱暴な違反」だと非難した。