前日産会長・カルロス・ゴーン容疑者は4回目の逮捕前に記者会見を行うとツイッターに投稿した。この会見がどういう理由で設定されたのか個人的に興味があった。これまでの情報を見るとどうやら「逮捕されそうだ」という差し迫った状況のなかで、逮捕を逃れるための工作という意味合いが強いようだ。4回目の逮捕を巡って弘中弁護士は「防御権の侵害だ。文明国としてあってはならない暴挙だ」(NHK)と強く反発している。さらに検察はゴーン容疑者の妻の携帯や裁判に向けて準備していた書類、ノートや日記も押収したことを明らかにした。「人質司法」という批判も含めて今後、国際的にも議論を呼びそうな気がする。

11日の記者会見はどうやら逮捕に備えて自らの無実を主張する機会だったようだ。記者会見の代わりに無実を主張するビデオも収録した。記者会見を設定したことが逮捕を早めた可能性もあるが、事実関係はよくわからない。3月に釈放されなければ4回目の逮捕はなかった。素人目には検察と裁判所は一心同体の存在。2回目の逮捕時に勾留延長を東京地裁が認めていれば、保釈決定即逮捕という3回目の異常な逮捕もなかった。もちろん、4回目も今回のようなことにはならなかっただろう。伝統的な「人質司法」を東京地裁が拒否したことが、3回目、4回目の異常逮捕につながったとも言える。国際的な批判に東京地裁が配慮した結果、ゴーン容疑者の逮捕はその都度異様な関心を呼ぶことになった。

司法制度は国際化にどう対応するか、今後の課題だ。企業犯罪は一足早く国際化している。ゴーン容疑者にかけられた嫌疑は、サウジアラビア・ルートにしてもオマーン・ルートにしても捜査に時間がかかる。国際化に遅れた司法の間隙を縫うように国際的な犯罪は増えつつある。この溝をどう埋めるのか、これも今後の大きな課題だ。とはいえ、ゴーン容疑者の犯罪は、リーマンショックで被った巨額の損失を日産に付け替えた時に始まったような気がする。この時点で同容疑者は経営者の道を踏み外した。金額の多寡ではない。個人の損失を会社に付け回した瞬間に、ゴーン容疑者の名声はすでに“ジ・エンド”だったのである。ゴーン容疑者および弘中弁護士がどうあがいても、無罪になることはないだろう。