統一地方選挙の前半戦である知事選挙や政令指定市の首長選挙が終了した。与野党の全面対決のなった北海道知事選では自民党と公明党が推薦した前夕張市長、鈴木直道氏(38)が立憲民主、国民民主、共産などが推した野党統一候補の元衆院議員、石川知裕氏(45)を破り、初当選を果たした。全国最年少知事の誕生である。東京都職員から財政破綻した夕張市の市長に転じ、2期8年の実績を積んだ。その候補にオール野党が元衆議院議員で小沢一郎氏の側近だった石川知裕氏をぶつけた。与野党対決の構図である。結果は与党の勝利。個人的には当然だと思う。鈴木氏の実績に対して野党は“野合”の候補を担ぎ出した。実績対野合の戦い。実績が勝つのは当たり前だろう。

北海道はもともと旧民主党が強い地盤。現在の政党でいうなら立憲民主党の牙城でもある。その牙城が敗れたのだから来るべき参院選挙への影響もあるだろう。石川氏は小沢自由党代表の元側近。そういう意味では立憲民主党というより野党統一候補を主張している小沢氏の敗北でもある。小沢氏の路線は野合でいいからとにかく統一候補をというもの。その戦略に無理があることが実証された。福岡の知事選では麻生副総理が支援した新人の武内和久氏が現職の小川洋氏に敗北した。こちらは意に沿わない候補を強引に引き摺り下ろそうとした麻生副総理の敗北である。小川氏の裏には古賀氏や二階堂幹事長意がついていた。分裂選挙に持ち込み敗れた麻生氏の政治力は、これを機に衰えていくだろう。

麻生氏が自ら指導力を発揮して公認候補に押し込んだ竹内氏は、予想を超える大差で敗北した。敗れたのは竹内氏ではない。麻生氏だ。有権者に拒否されたのだ。安倍首相が参院選後の内閣改造で麻生氏を切れれば、4選に道が開かれるかもしれない。もう一つの分裂選挙である島根県。こちらは竹下派が推薦した候補が敗れている。竹下王国の崩壊である。最後に大阪のダブル選挙。維新対自民党を含めた野党の戦いだった。こちらは知事選、市長選のダブルで維新が勝利した。大阪都構想の復活である。大阪市の存続を主張する自民党以下野党の野合勢力は、ここでも既得権益に目が眩んで有権者の意識を見損なっていた。維新というよりは都構想という改革路線の勝利だろう。いったん沈みかけた都構想が2025年の大阪万博と重なって復活した。反対に麻生、小沢、竹下という古い勢力が沈んだ。これも時代の流れだろう。