米政府はきのう、イラン産原油の禁輸に関する適用除外措置を5月1日に停止すると発表した。ロイターによると、原油市場ではWTIが前日比1.70ドル(2.66%)上昇、1バレル=65.70ドルをつけた。この水準は昨年10月以来、6カ月ぶりの高値だ。この先原油価格はどうなるか気になるところだが、今朝のニュースを読む限り各メディアともそれほど心配していないようだ。米国務省でイランを担当しているフック特別代表は「適用除外を延長する必要がなくなったのは、どの国も必要な原油を、必要なときに得られるようになったからだ」(ロイター)と説明している。影響を回避する準備が整った。だから適用除外を停止するというわけだ。180日間と定められていた適用除外期間はそのための準備期間だったということになる。

ちなみに適用を除外されているのは日本のほか中国、韓国、台湾、インド、イタリア、ギリシャ、トルコの8カ国。適用除外措置が停止されたあと世界的に原油の需給がひっ迫するのではないかという見方が広がっている。原油は供給過剰が続き、産油国を中心に価格維持に向けて減産しているのが実情だ。減産についてはOPECの加盟国、非加盟国の方針が一致しておらず、抜け駆け的な増産に走る産油国も出ている。こうした中での適用除外停止。市場では影響が小さいとの声が聞かれる。その一方で、リビアやベネズエラなど国内情勢によって供給減を余儀なくされている国があるため、イランの輸出が減れば想定以上に需給が引き締まるとの見方も出ている。それでもフック特別代表は「必要なときに(原油は)得られる」と強気だ。

もう一つ気になるのは米国との関係が悪化しているトルコの動きだ。NHKによるとチャウシュオール外相は22日、ツイッターに「アメリカの方針は地域の平和と安定に寄与せず、イラン国民を苦しめるだけだ。トルコは一方的な制裁や、隣国との関係における押しつけを拒否する」と書き込み、強く反発しているという。そのトルコも全輸入量に閉めるイラン産原油の割合は、2017年の約40%から現在は5%程度まで減少している。表面的には米国に反発しながらもイラン産原油の輸入を減らしているのである。面従腹背の逆だから「腹従面背」か。ちなみに日本のイラン産原油の輸入量は全体の5%程度だそうである。ガソリン代がすぐに値上がりすることはなさそうだが、中長期的には日本経済の不安定要素であることは間違いない。