【ソウル時事】韓国軍合同参謀本部は4日、北朝鮮が午前9時6分から27分(日本時間同)ごろにかけ、東岸の元山北方にある虎島半島から北東に向けて短距離の飛翔(ひしょう)体数発を発射したことを明らかにした。飛翔体は日本海方向に70~200キロ飛行した。

政府、北朝鮮飛翔体に冷静対処=情報収集や分析進める

 参謀本部は当初、「短距離ミサイル」を発射したと発表したが、その後「短距離の発射体(飛翔体)」に表現を変更した。聯合ニュースによると、韓国軍関係者は「弾道ミサイルではない」と述べた。ミサイル発射であれば、2017年11月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」以来とみられるが、聯合によれば、軍関係者は「飛行経路は大口径の放射砲(多連装ロケット砲)に似ている」と分析した。

 韓国大統領府報道官は声明で、北朝鮮による飛翔体発射に「強い懸念」を表明、軍事的緊張を高める行為を中止するよう求めた。

 日本の防衛省によると、日本の領域などへの弾道ミサイルの飛来は確認されていない。サンダース米大統領報道官は「北朝鮮の行動は把握しており、必要に応じて監視を続ける」と述べた。韓国の康京和外相は発射後、ポンペオ米国務長官、河野太郎外相とそれぞれ電話で会談し、分析を続け慎重に対処していくことで一致した。

 2月の米朝首脳会談が物別れに終わったことを受け、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は「米国は一方的で善意が見られない態度を取った」と批判、「朝鮮半島情勢は元の状態に戻りかねない危険な状況だ」と警告し、態度を変えるよう要求していた。国連制裁の対象とならない短距離飛翔体の発射で、米韓を揺さぶる狙いがあるとみられる。

 正恩氏は4月、「新型戦術誘導兵器」の発射実験を視察したと伝えられたが、これについても米韓当局は「弾道ミサイルではない」とみていた。