2日、カラカスで、取材に応じるベネズエラの野党指導者ロペス氏(EPA時事)

 【サンパウロ時事】政情不安が高まる南米ベネズエラで「暫定大統領」を名乗る反体制派のグアイド国会議長と共闘する著名野党指導者ロペス氏は2日、自宅軟禁中に複数の軍幹部と会合を持ち、協力の約束を取り付けたと語った。軍を頼みにする反米左派のマドゥロ大統領に揺さぶりを掛ける狙いがある。

 首都カラカスの空軍基地では4月30日、一部兵士がマドゥロ氏に反旗を翻したが、軍全体に波及する兆候はない。ロペス氏は保護を求めて駆け込んだスペイン大使館で、記者団に対し「軟禁中、自宅で3週間以上にわたり軍司令官、部隊代表、警察の代表者らと会った。彼らは(マドゥロ氏による)権力強奪の阻止に貢献することを約束してくれた」と主張。「30日に(軍に)入ったひびは亀裂に発展し、やがてダム(政権)を決壊させる」と宣言した。

 ロペス氏は2014年の反政府デモを扇動したとして自宅軟禁に処せられていた。しかし、4月30日に自宅を抜け出しグアイド氏に合流した。最高裁は2日、ロペス氏の逮捕を命じた。
 一方、マドゥロ氏はカラカスの軍施設で行われた式典で、数千人の将兵を前に「裏切り者やクーデター首謀者を武装解除する戦いでは士気を高く保とう」と忠誠を求めた。軍が政権側にとどまっていることを内外に示すとともに、軍内の引き締めを図っている。

2日、カラカスで、兵士らに囲まれるベネズエラのマドゥロ大統領(中央)=大統領府提供(AFP時事)

 反政府デモと治安部隊の衝突は4月30日からカラカスなどで激化した。現地の人権団体は2日、デモ参加者4人が死亡、300人以上が負傷したと明らかにした。