今日もネット上にはニュースが溢れている。今後に影響を及ぼしそうな重要ニュースが多い。そんな中で2つの記事が目を引いた。いずれもロイターが配信したもの。一つは「消費増税凍結必要、実施なら日本発リーマン級危機も=本田氏」というインタビュー記事。そしてもう一つが「焦点:GDPもう古い、『ニューエコノミクス』は地球を救うか」という記事だ。どちらも今後の政治・経済のあり方を考えさせられるが、どちらかといえば後者の方が対象としている範囲が広い。2つの記事を読みながら最近話題のアレクサンドリア・オカシオ–コルテス下院議員のことが頭に浮かんだ。若干29歳で昨年の米下院議員選挙に民主党から立候補、史上最年少で当選した女性議員である。彼女の主張は「グリーン・ニューディール」。

環境との調和、温暖化対策の推進、国民皆保険や福祉の増進に政治的な資源やエネルギーを投入しようという活動を担っている。グリーン・ニューディールの推進には莫大な財源が必要になる。それをMMT(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)で調達しようというのが彼女の主張である。MMTの提唱者の一人であるニューヨーク州立大学のケルトン教授とともに、大統領選挙を控えたアメリカで台風の目になりつつある。サンダース候補を応援する女性連合である。もう一つのインタビュー記事。安倍首相のブレーンの一人と言われる本田悦朗氏が、消費増税の凍結に言及している。財源は「人材育成国債」(仮称)という赤字国債だ。日本や米国など通貨発行権を持っている国の国債はデフォルトしない。MMTの主張に似ている。だが本田氏は、「定義がよく分からない」とMMTには慎重な立場だ。

「『ニューエコノミクス』は地球を救うか」と題したもう一つの記事。「飽くなき経済成長の追求は地球上の生命を支える基盤を蝕んでおり、このままの流れが続けば、貧富にかかわらず、どの国も苦い結果を避けることはできそうにない──。このことは今や、科学的にも裏付けられつつある」の書き出しで始まる。そして、「若者主導の『サンライズ・ムーブメント』の支持を受けるアレクサンドリア・オカシオ–コルテス米下院議員が提唱する『グリーン・ニューディール』は、社会的公正を、再生エネルギーや気候変動といった政策課題と結びつけようとしている」とつながっていく。新自由主義をベースにした主流派の経済運営は行き詰まりつつある。そこに登場する新しいムーブメント。成長と環境をどうやって結びつけるか。格差拡大を阻止して社会的公正を実現する社会。少しづつだが世界は動き始めている気がする。