【ワシントン時事】米通商代表部(USTR)と米財務省は3日、中国政府が前日公表した米中貿易協議に関する白書は「過去の経緯や本質を誤って伝えており失望した」と反論する共同声明を発表した。5月上旬に交渉が暗礁に乗り上げた責任をなすり合う非難の応酬を繰り広げ、首脳会談の実現や交渉再開とは程遠い展開となっている。

 共同声明は、両国が昨年12月の米中首脳会談後に本格協議を進める中で、中国による知的財産権侵害などの貿易慣行是正策でいったん合意した内容を「中国側が最終段階で覆した」と改めて批判。米国が5月10日に実施した対中制裁関税の引き上げを正当化した。米国は、さらに中国からの輸入品ほぼすべてに制裁関税を拡大する方針だ。

 中国政府は今月2日、米中貿易協議に関する白書を公表し、米国に対中制裁関税の全廃やバランスの取れた合意文書を要求。王受文商務次官は記者会見で、交渉が難航した責任は米国にあると非難した。中国は1日から対米報復関税を拡大しており、制裁と報復を繰り返す「貿易戦争」が激化している。