23日、バンコクで開かれたASEAN首脳会議で、議長を務めるタイのプラユット首相(ASEAN事務局提供)

 【バンコク時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は23日、タイのバンコクで2日目の協議を行い、米国と中国が主導権争いを展開するインド太平洋地域で、ASEANが中心的役割を目指す方針で一致した。会議では「ASEANが中心的かつ戦略的な役割を果たす」と強調する独自の「インド太平洋構想」を採択。米中の争いの中で存在感をアピールした。

 構想は東南アジアが地理的にインド太平洋地域の中心に位置していると指摘し、「ASEANにとり、経済と安全保障の枠組みづくりを主導することが利益になる」と訴えた。首脳会議の議長声明は、ASEAN域外諸国に「平和と自由、繁栄の維持に向け、構想への協力を要請する」と呼び掛けている。

 インド太平洋地域では、巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する中国が各国でインフラ整備などを手掛け、影響力を拡大しているのに対し、米国は「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱し、日本やインド、オーストラリアと連携を深めている。米中の争いに埋没する恐れがあると危機感を募らすASEANは、足並みをそろえて中心的役割を果たせば紛争抑止にもつながるとの見方から、インドネシアの主導で構想を策定した。

 議長国タイのプラユット首相は閉幕後、「域外との関係でASEANが主導的役割を強化することで合意した」と語った。