6月の米小売売上高は大半のカテゴリーで増加し、エコノミスト予想を上回る伸びとなった。市場が見込んでいる7月の利下げの前に、消費が既に回復傾向にあったことが示唆された。

キーポイント
・6月の小売売上高は前月比0.4%増
 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は0.2%増
 ・前月は0.4%増に下方修正(速報値0.5%増)
・飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたベースのコア売上高は0.7%増
 ・市場予想0.3%増
 ・専門家の間には、このコア売上高が個人消費のより正確な指標との見方がある
・自動車とガソリンを除く小売売上高も0.7%増

小売売上高の増加は7月30、31両日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での議論を複雑にする可能性もある。

パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の先週の議会証言を受け、米金融当局が約10年ぶりに利下げに踏み切ることは市場関係者の間でほぼ確実視されている。同議長は一方で、個人消費が経済成長を確実にけん引しており、1-3月(第1四半期)には弱かった消費が堅調なペースに回復してきているとの認識を証言の中で示していた。

4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)速報値は今月26日に発表される。ブルームバーグ・ニュースが市場関係者を対象に今月実施した調査によれば、第2四半期の経済成長率は1.8%と、第1四半期の3.1%から減速したもよう。ただ、個人消費は逆に増加したと予想されている

バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「この日の小売売上高は国内経済が良好で、消費者が良い状況にあるとの安心感を与える」と指摘。「企業の支出と信頼感、製造業の生産は景気減速を示唆しており、金融当局が景気を下支えしたいのであれば、金融市場の状況を支援し、国内経済の堅調を維持するために利下げを幾らか実施することはなお妥当な対応だ」と述べた。

詳細

  • 6月の小売売上高は、主要13項目のうち11項目で増加。店舗を持たない小売り業態が1.7%増え、全体をけん引した
  • 家電製品の販売店は減少
  • ガソリンスタンドは2.8%減と、昨年12月以来の大幅減少。ガソリン価格が2カ月連続で下落したことが影響
  • 自動車ディーラーは0.7%増と、前月と同じ伸び
  • 百貨店の売上高は1.1%減。前月は0.6%減だった
  • 統計の詳細は表をご覧ください

原題:U.S. Retail Sales Post Broad Gains in June, Topping Forecast (1)(抜粋)