1日を始めるにあたってまず京都アニメーションの火災でお亡くなりになった方々のご冥福をこころよりお祈りする。アニメは日本の文化であり、世界に誇る芸術だ。そのアニメの聖地で何が起こったのだろう。事実の解明を待つしかないが、多くのアニメーターがお亡くなりになった損失は計り知れないほど大きい。そんな気持ちでニュースを見ながら不可解に思ったことがある。時事通信によるとトランプ大統領は前日の演説の際に、聴衆が民主党の非白人女性議員を指して「彼女を(国に)送り返せ」と連呼したことについて、記者団に「やや気分が悪くなった。私は同意しない」と語ったことだ。「国に帰れ」と挑発しているのは大統領だ。それに支持者の聴衆が呼応したら今度は「気分が悪くなった」という。これって、どういうこと。

この件については16日付の当コラム「トランプ大統領の緻密に計算された暴言」にも書いた。トランプ大統領の一貫性のない気まぐれ発言はよく知られている。それでも裏で計算が働いているというのが、この記事の趣旨だった。きょうの時事の記事をみると、もう何が何だか分からなくなる。もう少し詳細に事実経過を追ってみよう。17日の集会での連呼は、トランプ氏がソマリア生まれのイルハン・オマル下院議員への非難を始めた際に起きた。「彼女は米国の勤勉な労働者に対して『無知がはびこっている』と侮辱した」と訴えると、聴衆の一部から始まった「センド・ハー・バック(彼女を送り返せ)」の掛け声が会場全体に広がり、10秒以上続いた。これに対して大統領は「やや気分が悪くなった。私は同意しない」と発言したのである。何が彼の感情を害したのか、大統領はひょっとすると分裂症ではないか?

もう一つはトルコをめぐる発言。ロイターによるとトランプ大統領は18日、「ロシア製ミサイル迎撃システムS400導入を進めるトルコに対して、政権が制裁を科すつもりなのかどうかはっきりした態度を示さなかった」という。記者団から制裁を考慮しているかと質問された同大統領は「現段階ではわれわれは検討していない」と説明。ただ、その後、同じ日に「多くの理由から非常に難しい事態になっている。だからわれわれはそれ(制裁)を考えている」と明言した。明らかに前後の発言が矛盾している。思いつき外交、行き当たりばったり、戦略なき外交など、トランプ氏の気分で変わる外交は数えあがたらきりがない。一貫性のない外交に前後の脈略もなく矛盾する外交が加わった。アメリカ外交、事態は混乱するだけである。