- ECB、フォワードガイダンスの文言変更-追加緩和視野に
- 利下げやQE、金利階層化など選択肢の検討を指示-ECB
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、大規模な追加金融緩和の舞台を整えた。ユーロ圏の景気減速は深刻との認識を示した。
総裁は政策委員会会合後にフランクフルトで記者会見し、ユーロ圏経済にはなお強さが見られるものの、「見通しは特に製造業で悪くなる一方だ。製造業が重要な国の見通しも悪化に歯止めがかかっていない」と語った。
会見の数時間前に発表された指標はドイツの景況感の急低下を示した。調査データによればユーロ圏の製造業は縮小しており、広範なリセッション(景気後退)の可能性を高めている。ただ、総裁によれば、ECBは依然、リセッションのリスクはかなり低いとみている。
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政策委は金利フォワードガイダンスの文言を「現行またはそれ以下」に変更し、既に過去最低の政策金利をさらに引き下げる可能性を明示した。必要に応じて債券購入プログラムを再開する方針も明らかにした。
ドラギ総裁は消費者物価上昇率がECBの目標である2%弱の水準を大きく下回り続けていることを指摘。「インフレの面で、現在の状況は好ましくない」とし、「これは非常に重要な点だ」と強調した。
政策委はまた、目標における「対称性へのコミットメント」を明確にする文言を声明に追加した。対称性を重視すれば、物価上昇が弱い時期の後には目標を上回るインフレ率を一定期間容認することができ、金融緩和を長く続けることが可能になる。ただ、具体的な目標設定についてはスタッフが最近研究を開始したばかりだ。
「政策委員会はユーロシステムの関係委員会に、政策金利に関するフォワードガイダンスを強化する方法、超過準備の付利における階層化システムの設計などマイナス金利の影響緩和の措置、新たな資産購入を行う場合の規模および資産の組み合わせなどについて、選択肢の検討を指示した」-声明
ドラギ総裁は雇用と賃金の伸びが景気の底堅さの源だと論じる一方で、大規模な金融緩和がなお必要だと強調した。ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらは、ECBが9月に中銀預金金利を0.1ポイント引き下げ、2020年1月から同年末までの新たな量的緩和(QE)ラウンドを発表すると予想している。
ECBはまた、マイナス金利による銀行への負担を一部緩和するため、超過準備に対するマイナス金利を階層化する方法も検討している。ドラギ総裁は、「利下げをする場合は同時に影響緩和措置を講じる」と述べた。
次回9月の会合はドラギ総裁にとって最後から2回目。9月には最新のマクロ経済予測も明らかになる。「これら全ては非常に複雑で、準備が必要だ。行動を起こす前に最新の予測を確認しようと決定した」と総裁は述べた。
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原題:Draghi Signals ‘Worse and Worse’ Outlook Warrants ECB Stimulus(抜粋)