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九回裏の攻撃の時に佐々木朗希(左)と言葉を交わす国保陽平監督=2019年7月25日午後3時4分、盛岡市の岩手県営野球場、小玉重隆撮影

 佐々木朗希投手の登板回避という判断をどうみるか。

 横浜(神奈川)の主戦として1998年夏の全国高校野球選手権準々決勝で延長17回を投げた中日の松坂大輔投手は、「難しい判断だったと思う。甲子園に行きたかっただろうし、佐々木君という宝物を壊すわけにもいかないし……」と国保陽平監督の胸の内に思いを巡らせた。「使わないで勝つのが理想だが、簡単には勝てない。甲子園で見たい気持ちはあったけど」

 当時、横浜の監督だった渡辺元智さんは「私なら投げさせた」。佐々木投手が本当に肩を壊しかねない症状だったのなら評価できると前置きした上で、「本人も投げたいと思っていたようだし、何より甲子園を目指して努力してきたはず。本人の意向を聞き、できるところまでは、やらせるのが高校野球だ」と話した。

 佐々木投手を「例えようのない選手」と評した巨人の原辰徳監督は、「本人と監督さんを含めた関係者が苦渋の決断をしたのではないかと察する。甲子園で見たかったな、というのは率直な意見」と話した。大船渡を地元で応援した男性(77)は主戦が登板しないことに「高校野球なんだろうか」と残念そうだった。

 一方、大リーグロイヤルズの大屋博行・国際スカウトは「彼の全力で戦った姿も見たかったが、米国の高校野球なら連投になるこの試合で登板することはあり得ない」と指摘。過去に過度な負担がかかる投手を何人も見てきたというスポーツ評論家の玉木正之さんも「出さない判断は当然で、最低限の健康配慮だ。肩を壊してでも投げるという姿に感動してはいけない」。

 ひじ、肩のケガに詳しい慶友整形外科病院(群馬)の古島弘三医師は「将来を見据えた英断で、他の学校の指導者も見習ったほうがいい。勝利第一にしてはいけない」と述べた。佐々木投手は21日に12回を1人で投げ切り、24日も9回を完封していた。連投について古島医師は「1試合投げて肩、ひじを壊すのではなく、休養が少ないとケガにつながる。本当にケガのリスクを減らすのであれば、もっと球数を抑えたほうがよかった」と話す。日本高校野球連盟は、有識者会議を設けて投球数制限の議論を進めている。