【北京時事】中国の習近平国家主席ら最高指導部メンバーや引退した長老らが河北省の避暑地、北戴河に集まり討議する非公式な重要会議「北戴河会議」が始まったもようだ。米国との貿易戦争が続く中、トランプ政権にどのように対処していくかが焦点。混乱が収まる兆しの見えない香港情勢も含め習指導部への不満が噴出する可能性もある。
北戴河会議は公式行事ではないため、日程や議題は明らかにされない。国営新華社通信は、政治局員である陳希・共産党中央組織部長と孫春蘭副首相が3日、北戴河で各界専門家と面会したと伝えた。習氏らもすでに現地入りしたとみられる。
現状は習氏にとって厳しい。7月末に上海で開かれた米中閣僚級協議は成果がなく、トランプ大統領は9月1日からほぼすべての中国製品に関税をかける制裁第4弾を発動すると表明。このままでは貿易摩擦が長引き、中国経済への悪影響は避けられそうにない。
習氏は1930年代に共産党が国民党の攻撃から逃れた苦難の行軍「長征」に例えて、米中対立の長期化を覚悟するよう呼び掛ける動きを見せる。しかし、党内には「対米交渉で習氏は判断を間違えた」(知識人)という不満が拡散している。
中国本土への容疑者移送を可能にする逃亡犯条例改正案をめぐる香港の混乱も習指導部には頭の痛い問題だ。改正案に対する抗議デモは過激化し、収束の見通しが立っていない。
10月に建国70周年の節目を控えており、習氏としては北戴河会議で長老らの同意を取り付けた上で対米交渉や香港情勢の安定に取り組みたいところだ。会議に先立ち、江沢民元国家主席(92)が7月29日に行われた李鵬元首相の告別式に参列し存在感を誇示しており、長老の動向が注目を集めている。