【ロンドン時事】欧州経済が苦境にあえいでいる。主要国のドイツと英国が米中貿易摩擦の影響などでマイナス成長に転落。今後も英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱や米国との通商関係悪化が予想され、不透明感が強い。

 欧州最大の経済大国ドイツの4~6月期の実質GDP(国内総生産)は、前期比0.1%減。第2位の英国も0.2%のマイナスに落ち込んだ。ユーロ圏全体でも0.2%増にとどまり、景気に急ブレーキがかかっている。

 特に主要国の製造業の落ち込みが目立つ。米中摩擦に端を発する世界経済の減速で輸出が低迷したほか、英EU離脱の混迷が国境を越えた生産体制を敷く自動車産業を直撃。環境規制の強化でディーゼル車を中心に自動車販売が振るわないという欧州特有の事情もある。

 先行きも課題山積だ。ジョンソン英首相は10月末の「合意なきEU離脱」に突き進んでおり、直前には駆け込み需要が見込まれるものの、11月以降は強烈な逆風に見舞われる恐れがある。さらに、米国とEUの貿易摩擦激化も懸念され、トランプ米大統領がEUの自動車やワインに追加関税を導入すれば、欧州経済には一段の打撃となりそうだ。

 英キャピタル・エコノミクスのジャック・アレン・レイノルズ氏は「米国とEUの貿易戦争が始まれば、成長予想をさらに引き下げざるを得ない」と警鐘を鳴らす。