英領ジブラルタル沖で拿捕(だほ)されていたイランのタンカー=7月19日(EPA時事)

 【ロンドン時事】イベリア半島南部の英領ジブラルタルの当局は15日、ジブラルタル沖で7月に拿捕(だほ)したイランのタンカーの解放を決めた。タンカー拿捕をきっかけに急速に悪化した中東情勢の緊張緩和に向けた一歩となる可能性がある。

 タンカーは7月初め、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアに原油を輸送していた疑いがあるとして拿捕されていた。イランは強く反発し、精鋭部隊「革命防衛隊」が7月中旬、英船籍のタンカーをホルムズ海峡で拿捕した。今後の焦点はイランがこのタンカーを解放するかに移る。

 ジブラルタル自治政府は、イランから「EUが制裁対象とする寄港地には行かない」と確約を得たという。ジブラルタルの裁判所は「これ以上タンカーを拘束する根拠はなくなった」と判断した。ただ、決定の直前、米国は英国に対しタンカーを解放しないよう呼び掛けていた。

 ジブラルタル自治政府のピカード首相は15日、解放決定を受け「地中海の入り口を守り、EUの制裁実施のために果たした役割を誇りに思う」と述べた。