きのうこの欄で韓国はGSOMIA(日韓の軍事情報包括保護協定)を破棄できないだろうと予測したが、結果はみごとに外れてしまった。日米両政府も「破棄はない」と予測していたようだから、一個人が間違うのは致し方ないかもしれない。政府に先駆けて予測が外れた原因を考えて見ることにする。最大の原因は韓国の日本に対する不信感がいかに大きいか、この点を個人的に見誤っていた、ということだ。もひとつの誤算は、日本のいうことは聞かない韓国でも、米国の要求は断れないだろうと思っていたことだ。結果的に韓国は日本のみならず米国の要望までを無視した。ここにこの問題の深刻な一面がある。

徴用工問題の最高裁判決を契機に始まった今回の騒動、日本側から見れば国際ルールを守らない韓国に対する不信感が高まる一方だった。そんな中で、傍若無人に振る舞う文在寅(ムンジェイン)政権に対して、事務手続きとして貿易管理を強化すると伝えた。日本から見れば貿易管理は徴用工問題とは全く別の問題。だが、韓国から見ればこれは「報復」と映る。ここから韓国の日本に対する不信感が一気に増幅する。内政的に必ずしも盤石ではない文大統領が、これを支持率拡大に利用した側面もある。韓国民衆の対日不信感を煽りに煽った。こうなれば相乗効果を生みながら不信感が増幅する。あまりの不信感の拡大に恐れをなしたのか、文大統領は15日の光復節で「対話に出てくるなら、日本と手を結ぶ」と話し合い解決に向けたシグナルを送った。しかし、この発言に込められた政治的意味を日本側は感受できなかった。

日本との信頼感喪失と不信の増幅はある程度理解できるが、米国に対する対応はあまりにも突然だったように見える。文大統領はこの問題が起こった直後トランプ大統領に仲介を要請している。その後、ポンペオ国務長官、エスパー国防長官らが相次いで韓国を訪問、GSOMIAの維持を要望している。米国側の強い要求を韓国は今回あっさり退けた。対日不信はよくわかるとしても、米韓関係のこの変化は何を意味しているのか。米国防省はきょう声明を出し、今回の対応に「失望した」と強い言葉で韓国を非難している。時事通信は「日本の攻勢に屈しない対抗姿勢を誇示する狙いがある」と韓国の狙いを説明する。だが、本当にそうだろうか。日米間の亀裂が入ったことで北朝鮮、中国、ロシアは内心ほくそ笑んでいるはずだ。文政権が単独で今回の決断を下したとは思えないのだ…。