[北京 30日 ロイター] – 中国外務省は30日、中国と米国の「デカップリング(分断)」が進行すれば国際金融市場は不安定に陥ると警告し、米国による対中投資制限の動きをけん制した。 

ブルームバーグ(BBG)など複数のメディアは先週末、トランプ政権が米国の証券取引所に上場する中国株の上場廃止を検討していると報道。これに対し米財務省はBBGに「現時点で」中国企業の上場を阻止する計画はないとコメント。またナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)もCNBCに、そうした報道は「フェイクニュース(うその報道)」だと明言するなど、火消しに回った。 

米上場の中国株では、電子商取引大手のアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)や京東商城(JDドットコム)(JD.O)、検索サイトの百度(バイドゥ)(BIDU.O)などの銘柄が先週末の下げから値を戻した。 

中国外務省の報道官は定例会見で、報道や米財務省のコメントは承知していると発言。米中の貿易・金融面の協力は相互利益になるとした上で「最大限の圧力をかけたり、米中関係のデカップリングを強制すれば、米中の企業・国民に悪影響が及び、金融市場が混乱する。国際貿易と経済成長が危うくなる」とし「これは国際社会の利益に合致しない」と述べた。また米国が中国と協力して経済・金融面の協力を深化させ、米国が対立解消に「建設的な態度」で臨むことを期待すると表明した。 

ナバロ氏は「フェイクニュース」発言について「ブルームバーグが報じた記事については極めて注意深く目を通してみたが、記事の半分以上は非常に不正確か、もしくは単純に明らかな間違いだ」と指摘。「報道は本当に無責任で、悪い記事が良いものを押しのけてしまう。ブルームバーグの記事が世に出た途端に、他社もそれに追従するよう迫られる」とした。 

今年6月、米超党派議員グループは、上場している中国企業に対し、米当局による監督受け入れを義務付ける法案を議会に提出した。現在、中国は自国企業が米国監査機関に対し資料開示することを認めていないが、同法案が成立すれば、財務情報の開示が必要となり、要件を満たさない企業は上場廃止処分となる。 

ある関係筋は「これはトランプ政権にとって非常に優先度の高い問題と言える。(公開会社の監査を監視する)公開会社会計監視委員会(PCAOB)の手続きに従わない中国企業は米国の投資家にリスクをもらたす」と述べた。 

米中の閣僚級協議はワシントンで10月10─11日に開催される予定。中国の王受文商務次官は29日、両国が「冷静で理性的な姿勢で」貿易摩擦を解消するよう期待感を示した。 

複数の取引筋によると、中国企業は30日、最大60万トンの米国産大豆を購入した。11月─来年1月に出荷される予定。中国の輸入業者に割り当てられた無関税枠内での購入で、今週は最大200万トンが購入される見通しという。