エスパー米国防長官=9月30日、バージニア州(AFP時事)
エスパー米国防長官=9月30日、バージニア州(AFP時事)

 【ワシントン、イスタンブール時事】トランプ米政権は11日、シリア北部のクルド人勢力に対するトルコ軍の越境作戦に対し、制裁発動を辞さない構えを示し、中止を迫った。トランプ大統領の事実上の黙認で作戦が始まったと国内外から批判にさらされ、遅まきながら圧力をかける方針に転換した形。ただ、トルコ側は12日も作戦を継続しており、早期の事態収拾は望みにくい状況だ。

 エスパー米国防長官は11日の記者会見で、トルコのアカル国防相と10日に電話会談し、「強い反対」の意向を伝え、作戦中止を求めたことを明らかにした。「作戦を支持していない」(トランプ氏)と主張し、民間人保護などを訴えるだけだった米政権のこれまで立場から一歩踏み込んだ。

 さらにムニューシン財務長官も、トランプ氏がトルコに対する「重大な制裁」を実施するための大統領令に署名する方針だと発表した。「トランプ氏は民間人や民間施設、民族的・宗教的少数派への攻撃の可能性を懸念している」と指摘。トルコ軍が非人道的な行動に及べば、金融機関などを対象にした制裁を発動する可能性を示唆した。