[ワシントン 31日 ロイター] – 米フェイスブック(FB)(FB.O)のメッセージアプリ「ワッツアップ」を利用したマルウエア(悪意のあるプログラム)を通じて携帯電話が乗っ取られる被害で、米同盟諸国の高官らが標的となっていたことが、ワッツアップの内部調査に詳しい関係者らの証言で明らかとなった。
確認された被害者の「相当数」が最低でも世界20カ国にわたる政府高官や軍当局者だったといい、被害が及ぼす政治的・外交的な影響が懸念される。
ワッツアップは29日、世界20カ国で同社の利用者約1400人の携帯電話をハッキングして情報を収集する政府の活動を手助けしたとして、イスラエルのサイバー技術会社NSOグループを提訴。ワッツアップのビデオ通話システムを通じて複数の利用者の携帯電話にマルウエアが遠隔で送り込まれたとした。
誰がマルウエアを利用したのかなどは不明。ただ、NSOはマルウエアを政府の顧客に限って販売している。
関係筋によると、米国やアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、メキシコ、パキスタン、インドなどで被害が出た。被害者の中に政府当局者が含まれているかは不明。
NSOからのコメントは得られていない。NSOはこれまでに「訴えに最も強い言葉で反論し、今後徹底的に争う。NSOの唯一の事業目的は、テロや重大な犯罪への対抗に力を貸すため、政府情報機関や法執行機関に技術を提供することだ」と表明している。