ニューヨーク・タイムズ紙が衝撃的なスクープを放った。時事ドットコムによると、「17日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国・新疆ウイグル自治区のイスラム教徒の少数派ウイグル族らへの弾圧をめぐり、400ページ超に上る中国政府の内部文書を入手したと報じた。2014年春に自治区を視察した習近平国家主席は、ウイグル独立派による犯行とされた無差別殺傷事件などを受け、非公式の場で当局者らに徹底的な『対テロ闘争』を呼び掛け、『決して容赦するな』と発言したという」と報じている。400ページの内部文書である。しかもリークしたのが政権内部にいる「政治的地位にある人物」とされている。信憑性が高い。
NYタイムズ紙によると、「文書は中国で政治的地位にある人物が匿名を条件に提供した。この人物は、文書の公開により、習氏を含む中国共産党指導者らはウイグル族らの大規模な拘束の責任から逃れられなくなるとの期待を示した」という。この人物は政府高官だろう。政府高官による内部告発である。告発者は「習氏を含む中国共産党指導者」の責任が明確になることを期待しているという。おそらくこの報道をうけて世界中で、中国政府に対する批判が強まるだろう。習主席の批判勢力に対する弾圧は昨今の香港の情勢を見るまでもない。ウイグル自治区ではテロと称して過酷な措置が講じられている。情報提供した政府高官の身の安全が心配になる。
米国と覇権を争うまでに成長した中国。心配なのは共産党一党支配による独裁国家であるという点だ。新疆ウイグル自治区、香港、南シナ海における軍備拡張、台湾に対する圧力など、「核心的な利益」に対する中国の身勝手な振る舞いがいたるところで顕在化している。ある意味では「米国第一」のトランプ氏より習氏の方が悪質だという気がする。その一方で習主席は自由貿易の堅持を錦の御旗として掲げている。独裁政権のもとで貿易だけは自由にやる。民衆の自由は許さないが、民衆が作り出した物品は海外と自由に取引する。あまりにも自分勝手な言い分ではないか。こんな中国が本当に持続可能なのだろうか。それを可能にしているのは中国を取り巻く周辺の国々ということになる。
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