社会保障制度改革の司令塔となる「全世代型社会保障検討会議」をめぐり、政府が12月中旬にまとめる中間報告に医療改革の方向性も盛り込む方向で検討していることがわかった。当初は年金や雇用などの課題に先に取り組み、医療は来年から本格的に議論する予定だったが、「社保改革の全体像を示すために医療改革は不可避」(政府関係者)と判断し、前倒しする。
26日の検討会議の第4回会合で、年金、雇用と合わせ医療改革も取り上げる。
安倍晋三首相は9月20日の初会合で「少子高齢化と人生100年時代を見据え、年金、医療、介護、労働にわたる持続可能な改革を検討する」と表明。これまで、高齢者の就業機会の確保や公的年金の受給開始時期の上限年齢引き上げ、パートなど短時間労働者への厚生年金の適用拡大などを議論してきた。
政府は中間報告を踏まえ、来年の通常国会に年金や介護の制度改革関連法案を提出する予定だ。
一方、医療は年末の中間報告に方向性を盛り込まない方針だった。だが、75歳以上の後期高齢者が団塊世代の影響で増える令和4年から医療費の急激な膨張が予想され、給付と負担の見直しは急務となっている。
26日以降、年内に複数開く会議では、医療機関での後期高齢者の窓口負担の引き上げや、外来受診時に一定額を上乗せする受診時定額負担の導入などを議論し、改革の方向性を中間報告で示す。
当初は、医療制度改革の方向性を来年夏に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込み、医療制度改革関連法案を3年の通常国会に提出する予定だった。ただ、会議の結論次第では、医療分野の給付と負担の見直しを前倒しし、来年の通常国会に年金などと一体化して法案を提出することも検討する。