今週は多くの政治イベントが予定されている。最大のものは15日に控えている米国の中国に対する追加関税の引き上げだろう。トランプ大統領は本当に中国制裁に踏み切るのか、現時点では依然として明確にはなっていない。香港の政治情勢、北朝鮮の対米圧力、イランとの関係などトランプ氏の決断を左右する要因はいろいろある。大統領弾劾の行方、来年の大統領選挙の見通しなどにも左右されそうだ。大統領選挙に関しては民主党の有力候補が依然として絞りきれていないという現実もある。不透明要因が多数存在する中で国際政治の混迷はまだまだ続くだろう。

そんな中で注目されるのが12日に予定されている英国の総選挙だ。メディアの大半はボリス・ジョンソン首相率いる保守党が、過半数の議席を確保する見通しだと伝えている。これが確度の高い予測ならボンドはもっと値上がりしても良さそうだが、相変わらず先行きに対する不安を抱えた展開に終始している。この裏には3年前の国民投票が大きく外れた苦い経験がある。最近の英国の金融市場関係者の間では調査機関の予想に加えてAIによる獲得議席の予想分析、ソーシャルメディアで流れる情報の分析まで取り入れようとする動きが目立っているという。究極の選択としてブックメーカーのオッズまで分析対象に組み込まれているという。

前回の英国民投票でも米大統領選挙でも、メディアを含め調査機関の予想は大きく外れた。メディアの世論調査をはじめ各種の予想に疑念を挟むのは致し方ないかもしれない。ロイターは「世界があまりに複雑になってしまい、かつては標準的な指標だった世論調査は、もはや実像を捉えていない」と専門家の意見を紹介している。世論調査が外れる原因の一つは態度未定者が多いことだ。保守党優位が大方の予想だが、調査対象の中で一番多いのは投票先未定という回答だといわれている。世論調査会社ユーガブによると、保守党の予想獲得議席は359プラスマイナス50。マイナスにブレれば保守党の獲得議席は過半数を割り込む。英国のEU離脱の先行き、この時点でも相変わらず不透明な気がする。