英総選挙に先立ちロンドンに設置された投票所の案内板=10日(EPA時事)
英総選挙に先立ちロンドンに設置された投票所の案内板=10日(EPA時事)

 【ロンドン時事】12日投開票の英総選挙はジョンソン首相率いる保守党が各種世論調査でトップを走る。2位の労働党との差は約10ポイントあり、これを信頼すれば、保守党が大勝しても不思議ではない状況だ。しかし、メディアも専門家も「保守党による過半数獲得は確実とは言えない」と慎重姿勢を崩さない。背景には、ここ数年の英国の総選挙や国民投票で、世論調査と投票結果の間に大きな開きが生じてきた経緯がある。

 2014年に北部スコットランドで行われた英国からの独立の是非を問う住民投票は、事前の世論調査で大接戦が伝えられた。しかし、ふたを開けてみると「独立反対」が10ポイント以上の差をつけて多数になった。翌15年の総選挙では、投票日の出口調査でキャメロン首相(当時)率いる保守党の伸び悩みが予想されたが、開票が進むと、同党の大勝が判明した。

 欧州連合(EU)離脱を決めた16年の国民投票でも、投票直前まで多くの世論調査が残留派のリードを指摘。17年の総選挙では、メイ首相(当時)率いる保守党が下院の過半数を失う事態はほとんどの調査で見込まれていなかった。

 英国の総選挙は全議席が単純小選挙区制で、1票でも多く集めた候補が勝者となる。議席を得るため、わずか数十、数百の票を争ってしのぎを削る選挙区も珍しくない。一方で、大多数の世論調査結果は全国一律の政党別支持率で示されるため、激戦区が多ければ多いほど、情勢把握の精度も低下する可能性があるとみられている。