年末年始、国内は比較的平穏に推移したが、国際情勢は大荒れに荒れた。とりあえず米朝関係は様子を見るとして、米国とイランの関係は深刻だ。少し大げさかもしれないが、第三次世界大戦勃発の危機といってもいいだろう。ゴーン容疑者の逃亡もあってはならないことだ。今後、国際世論はどう動くのだろうか。2020年。今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催される年でもある。本来なら平和の祭典に向けて世界中が心を新たにして然るべき時だ。その年明けが不安と緊張をはらんで明けところに、現在の国際情勢の厳しさが現れている。
米国とイランの関係は、ソレイマニ司令官を殺害する前から一触即発の状態にあった。そんな中でトランプ大統領は、軍が提示した選択肢のうち最強のカードを選んだと言われている。これには軍幹部も驚きを隠せなかったようだが、トランプ大統領の特異性を象徴する一コマでもある。おそらくトランプ大統領はかつてイランの米国大使館が占拠された際、大使館員の救出に躊躇したカーター元大統領の二の舞いになるのを避けたのだろう。今年は大統領選挙の年でもある。弱腰外交の批判を恐れ、最強のカードを引き抜いた。その選択を忠実に実行する軍部。世界中が米国の恐ろしさを改めて確認した瞬間だった。
これに先立ってカルロス・ゴーン容疑者がプライベートジェットを使って日本から脱出した。こちらもメディアの総力をあげた情報戦が続いている。今朝の日経web版を見て驚いた。レバノンでは「10月中旬から反政府デモが続き、同月末にハリリ首相が辞任を表明。2カ月以上たった今も新内閣が発足しない政治空白が続く」とある。デモ参加者は「エリート層が国民のカネで私腹をこやしている」と批判。ゴーン被告についても、「巨額の会社資金を私的に流用、レバノンのエリート層とつながりを持つ」と映っているようだ。同容疑者は個人的には以前から、「経営者というよりも守銭奴」と映っていた。主権を犯された同容疑者に国はどう対応するのか。新年早々、国のあり方が問われる事態となっている。
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