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現役世代、老後までに必要な蓄え

 朝日新聞社は「長寿時代のお金意識」をテーマに郵送方式の世論調査を行った。必要な老後資金について、年金をまだ受け取っていない現役世代の70%が「ためられない」と答えた。「ためられる」は21%にとどまった。何歳まで生きたいかを聞くと、「ためられない」人の方が低い年齢を回答する傾向があり、先行きの不安が長生きしたいという意欲にまで影響しているようだ。

 老後に必要な資金については、老齢年金を受給中と回答した年金世代(全体の39%)と、現役世代(同59%)で別の質問をした。

 現役世代にはまず、退職金を含めて老後までにいくら蓄える必要があると思うかを尋ねた。「2千万円」が最も多く28%。「1千万円」「2千万円」「3千万円」を合わせると74%を占めた。

 重ねてその必要額をためられるかを聞くと、「ためられる」は21%。雇用形態が非正規雇用の人に限ると12%で、特に低かった。

 年金世代には、必要と思う老後資金をためられたかを聞いた。「ためられた」は18%、「ためられなかった」72%だった。

 何歳まで生きたいかとの質問には、現役世代の46%が「80歳」と答え、「60歳」「70歳」が計24%、「90歳」「100歳以上」が計26%だった。平均寿命より短い「60歳」「70歳」の回答は、老後資金を「ためられる」人の計18%と比べると、「ためられない」人が計26%と高めだった。

 世帯の貯蓄の有無を聞くと、現役世代の38%、年金世代も37%が「ない」と答えた。貯蓄の「ある」人の主な目的(複数回答)は「老後の生活費」が最も多く全体の76%、続いて「病気や介護」の58%だった。

 老後、病気や介護にかかるお金の不安については全体の60%が「大いに感じる」、33%が「ある程度感じる」と答えた。

 郵送調査は昨年11~12月、全国の有権者から無作為に選んだ3千人を対象に実施。有効回答は2055人で回収率69%。(渡辺康人)