ロシアのプーチン大統領が憲法改正案を提出した。NHKによると主な改正点は3つ。一つは大統領の任期で1人が通算で2期以上務めてはならないというもの。もう一つが、大統領は下院が承認した候補者を首相として任命するというもの。最後に、これが最も重要な改正点のようだが、現在プーチン大統領の諮問機関である「国家評議会」を法律に明文化するというもの。大統領の任期は2008年の憲法改正で4年から6年に伸びた。プーチン氏は現在2期目だ。就任期間は連続2期に制限されている。憲法を改正しない限りプーチン氏は2024年に退任せざるを得なくなる。

任期4年の時代にプーチン氏は、2000年から2008年まで大統領の職にあった。連続2期の規定があるため、一端メドベージェフ氏に大統領を譲り、自らは首相となって実権を握った。今回も一端誰かに大統領職を譲り、2030年に再び大統領になることは可能だった。だが、この道は選ばなかった。30年まで待つのではなく、24年以降も引き続き実権を維持する方針を模索し始めたようだ。連続ではなく通算で2期以上勤めてはならない。こうすればプーチン氏は二度と大統領にはなれない。ではどうするか。大統領よりも権限が上の役職を作ればいい。国家評議会を憲法に明記し、その初代議長に就任する。これが大方の見方のようだ。

なにやらイランの体制に似ている。ロウハーニー大統領の上に最高指導者ハーメネイー氏がいる。ロシア大統領の上に国家評議会議長が君臨する構図だ。なんとも身勝手というか、おぞましい改正案である。同じことは中国の習近平国家主席もやっている。憲法を改正して自らを核心と位置づけ、1期5年で2期10年までとされていた国家主席の任期制限を削除した。北朝鮮の金正恩委員長には任期はない。永遠に最高指導者だ。同委員長は米国に体制の維持を求めている。トランプ大統領だって今年の大統領選挙に敗れればただの人になる。独裁者が勝手気ままに憲法を改正できる国々。共通の価値観を共有する西側諸国は結束してこれらの国々に対抗すべきだ、こういう記事を読むとつくづくそう思う。