新型肺炎をめぐる報道が引きも切らずに続いている。報道の中身はいつもの通り、過大で過剰で過激であることを旨としているような雰囲気さえある。それぞれのメディアが総力をあげて真剣に事実の伝達に努めていることは良く理解している。だが、新しい事実がこれだけ次から次と発生し、それにメディアの憶測、推測、予測が混ざって報道されると、何が最も優先されるべき課題であるか、逆に分からなくなる。そこで今朝のニュースを見ながら、新型肺炎問題の重要度を個人的に整理してみた。

何より重要なのが今後の見通しである。中国の保健当局を率いる専門家チームのトップ・鍾南山氏は11日、感染拡大のピークについて「今月中旬から下旬にかけてピークを迎える可能性がある。そして、高止まりの状態が続いたあと、下がっていくだろう」と述べたとロイターが伝えている。理由としては武漢では依然深刻な状況が続いているが、広東省や浙江省など他の地域では感染者の数が少しずつ減少していることを挙げている。これにAIの予測も加味しているようだ。一方、WHOのテドロス事務局長は同日、新型ウイルスの感染拡大は「テロリズムを超える恐れがある」(ロイター)と一段の警戒を呼び掛けている。

国内ではクルーズ船で、新たに40人の感染が確認された。うち1人は同船にいた検疫官。3700人を超える乗員乗客が乗る船で、どうやって感染拡大を防ぐか、感染症対策の実務として当面の最大の課題だ。加藤厚労相はこの日の予算委員会で、「病院機能を持つ船舶の配備のありかたを加速的に検討する必要ある」と表明した。大型クルーズ船に匹敵する病院船の建造も含め、早急に結論を出す必要がある。政界の一部には緊急事態への対応を盛り込んだ改憲を主張する向きもある。その議論も必要だが、目先的には病院船に決着をつけるべきだ。このほか隔離施設や重傷者を収容する病院の確保、情報の出し方にも工夫がいる。