今朝の新型肺炎報道で気になった点を思いつくままに書いておく。まずはクルーズ船関係。集団感染が発生している大型クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号。政府は80歳以上の一部の高齢者の下船を認めることを決めた。これについて朝日新聞は、「クルーズ船の乗客乗員への政府の対抗は二転三転してきた」と批判する。新型コロナウイルスという未知との遭遇で、状況を見ながら臨機応変に対応するのは当たり前のことではないか。終始一貫、初めから終わりまで対応を変えなければ、おそらくメディアは柔軟性に欠けると批判するだろう。

いいか悪いかという問題ではない。未知と遭遇した時、どういう対応を取るべきなのか、答えは簡単ではないということだ。同紙は別の記事で、ロシア外務省の報道官の話を引用している。「日本の対応はカオス(混沌)で場当たり的だと批判した」とある。気のせいだろうか。こういう発言を引用するときの同紙の記事は生き生きしているような気がする。東洋経済のオンラインには考えさせられる記事が載っている。本日付の「死者1万人超、アメリカで『インフル猛威』のなぜ、2年前はなんと6万人以上が亡くなっていた」。この記事には驚くべき事実が紹介されている。

「今シーズンの罹病者は合計で2200万人。死者は1万2000人――。これは、今世界を震撼させているコロナウイルス肺炎の話だと思われるだろうか。いや、そうではない。実は聞き慣れた病気、『インフルエンザ』のアメリカでの現状である」と。WHOによると12日現在新型肺炎による致死率は2.5%である。これはインフルとほぼ同等だそうだ。インフルもいま世界中で感染が広がっている。だが、だれもインフルの脅威を問題にしない。どうしてだろうか。既知のインフルと、未知のウイルスとの違いである。未知との遭遇は底なし沼のように恐怖感が広まる。それだけに噂やデマを含めて、一方的な情報には注意が必要だ。