今朝方発表された昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質の速報値で前期比1.6%減、年率換算では6.3%減となった。インフレ分を差し引いた名目のGDPは前期比1.2%減、年率では4.9%減。9月までの消費増税前の駆け込み需要の反動、大型台風や暖冬による消費の落ち込みなど、事前にマイナス成長は予想されていた。前回の消費増税直後の14年4-6月期(マイナス4.8%)に比べると、落ち込み幅は小幅だったと前向きに捉える向きもある。だが、個人的には予想外の大幅なマイナス成長だったという印象が強い。

マイナス成長は四半期ベースで見ると5四半期期ぶりだ。安倍政権は消費増税対策として、増税分を上回る規模の経済対策を実施してきた。にもかかわらず年率換算で見れば6%を超える落ち込みとなった。日経新聞によると民間予測の中央値は前期比1.0%減で、年率では3.9%減となっていた。これを大きく上回る落ち込みとなった。米中の貿易摩擦、集中して発生した台風被害、温暖化に伴う冬物衣服の売り上げ減など、消費増税以外の悪材料が重なったことも事実だ。とはいえ、項目別では個人消費が実質2.9%減と5四半期ぶりに大幅なマイナスになっている。消費増税の影響が出たことは間違いない。

1−3月期は新型コロナウイルスの影響が心配される。おそらく1−3月期もマイナス成長になるだろう。消費増税を機に悪材料が重なったといえばそれまでだが、政府は過去の過ちをまた繰り返したことになる。同じ過ちを3回続けること自体が異常だ。これは安倍政権だけの問題ではないだろう。政権を取り巻く政治家、官僚、学識経験者など主流派を支配している財政再建と景気回復の両立という命題が、実現不可能なことを明確に示している。失われた30年を振り返るまでもなく、諸悪の“根源”がここにある。トランプ政権は選挙対策をかねて9月にも新たな減税策を打ち出すようだ。日米の基本政策の違いに、そろそろ主流派も気づくべきだ。