英国が離脱したEU。来年度以降の予算案を協議するための臨時首脳会議がきのうブリュッセルで始まった。焦点は予算全体の約1割を拠出してきた英国の離脱でなくなった財源をどうするか。英国なきEUの将来を占う重要な会議だ。NHKによると「イギリスの離脱を受けてこれまで以上に結束が問われているEUですが、予算の配分をめぐって自国の利益確保を優先させたい各国の思惑が対立し、議論はいまも続いています」という。要するに各国の利害が対立、首脳会議は紛糾しているということのようだ。
ウィキペディアによると、EUは加盟27カ国がそれぞれ独自の予算を編成している一方で、これとは別にEU議会や執行機関を運営するための連合体の予算を編成している。現行の予算規模は約8700億ユーロ。このうちの10%程度を英国が拠出していた。英国が離脱したことでこの分がなくなる。これをどうやって埋め合わせるか、昨日から始まった臨時首脳会議の最大のテーマである。EUの理念は個別国家ではなく、連合体として利益の増進を測ること。理念は崇高だが、いざ調整が始まると途端に個別の利害が衝突、議論が紛糾し調整がつかなくなる。
NHKによると「EUが示した新たな予算案では、イギリスが抜けた穴を埋めるため、発展が遅れている加盟国への資金援助や各国の農業分野に割り当てる補助金を大幅に削減するなどとしています。しかし、インフラ整備などのためにEUからの支援が不可欠なポルトガルやポーランドなどが強く反発しているほか、農業が盛んなフランスやスペインも補助金の減額に反対しています」ということになる。英国離脱で足りなくなった予算を補助金や公共事業予算の削減で帳尻をあわせようとしているが、すんなりとはまとまらないようだ。「カネの切れ目が縁の切れ目」という。EUの吸引力が失われ、空中分解しないようにと願うばかりだ。
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