習近平主席の訪日が延期された。同じ日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で安倍首相は、「中国や韓国からの入国者に対しては検疫所長が指定する場所での待機のほか、国内での公共交通機関を使用しないことを要請する」(ブルームバーグ)ことを明らかにした。さらに、品薄が指摘されているマスクの供給対策については、「来週取りまとめる第2弾の緊急対策に需給両面から総合的なマスク対策を盛り込む」(同)と述べた。さらに、インターネット上でマスクが高額で取引されていることを受けて、「国民生活安定緊急措置法を適用し、マスクの転売行為を禁止する」(同)ことも明らかにした。

政府も自治体も医療関係者も、新型コロナの感染拡大に向けて死にもの狂いで努力している。そんな努力に水をさすつもりは全くないのだが、安倍首相の対応はやっぱり後手に回っている。同じように後手後手に回って批判を呼んでいる習主席の訪日延期が同じ日に発表されたことは、何かの因縁かもしれない。習主席は武漢で新型コロナが発生した当時、これを封殺しようとしたとの疑いをかけられている。事態の深刻さに気が付いたあと、1月20日に感染防止に向けた指示を発出、自ら先頭に立って新型コロナと戦う姿勢を鮮明した。それでも批判は解消せず、今度は「指示は1月初旬に出していた」と後手批判の鎮圧に努めたが逆効果。失地挽回を目指した訪日も中止になった。

安倍首相も後手後手の連続だった。今頃になってようやくマスク対策に乗り出したが、即決したわけではない。来週取りまとめる「第2弾の緊急対策」に盛り込むという方針の表明である。「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を使えば今すぐできることである。それをわざわざオイルショックの時に制定した「国民生活安定緊急措置法」を使って遠回りする。なんということか。この二人に共通しているのは、国民の生活実態を知らないことだ。習氏も安倍首相も2世、3世議員。お坊ちゃん育ちで国民の普通の生活から遠いところで育っている。おまけに取り巻きも2世、3世が多い。これでは毎日イライラしている医療関係者や国民は救われない。