日本銀行が金融緩和政策の一環として設けている上場投資信託(ETF)の購入枠を現行の年間約6兆円から増やす手段を検討していると10日、共同通信が報じた。新型コロナウイルス感染症の拡大により株式市場が混乱しており、ETFの買い増しで日経平均株価を下支えする狙いがある。18、19の両日開かれる金融政策決定会合で議論する見通しとしている。
日銀の黒田東彦総裁は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、市場動向を注視しつつ、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針との緊急談話を発表した。直後の金融市場調節では、2016年3月以来となる国債買い現先オペ5000億円を通告、市場安定に万全を期す姿勢を明確にした。
主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁は3日、電話会議を行い、「強固で持続可能な成長を実現するため、また下方リスクから守るため、すべての適切な政策手段を用いるとのコミットメントを再確認する」とした共同声明をとりまとめた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は同日の臨時会合で、0.5ポイントの緊急利下げを全会一致で決定。マイナス金利下で手段が限られる日銀の「次の一手」が注目されている。
日銀はすでにETFの買い入れを積極化しており、10日もETFを1014億円買い入れたと発表した。ETF買い入れは3月に入り4回目で、1回の買い入れ額としては今月2、6、9日の1014億円と並び過去最大だった。