新型コロナウイルスに関連して国際社会が日本に寄せる関心事は2つある。1つは今夏に予定されているオリンピック・パラリンプックがどうなるか。もう一つは日本のPCR検査数が極めて少ないことだ。このうちオリパラについては昨日、安倍首相とIOCのバッハ会長が電話で会談、一年程度をめどに延期することが決まった。来年のいつ開催するかなど今後も詳細な検討が続くが、大きな山は超えたと言っていいだろう。残るはPCR検査の数である。いまでも検査を増やせという声が残っている。検査の拡大は医療体制など全体的なバランスを取りながら進めるべきだと、個人的には考えている。この件についてはこれからも議論が続くだろう。

日本のPCR検査は国際的に見て数が圧倒的に少ない。これについては色々な見方がある。時事通信によると「感染者数が統計上は先進国中で圧倒的に少ないことをめぐり、感染が急増中の欧米のメディアは、日本は検査不足で実態が反映されていないのか、それとも感染抑止で『健闘』しているのか注視し始めた」との記事を配信した。それによると独誌ウィルトシャフツウォッヘ(電子版)は21日、「日本のコロナの謎」という記事を掲載。「欧州と違い多くの店舗が開いているのに、日本の感染者数は少ないと指摘。検査数の少なさへの批判と、疑いが強い例に絞り効率的に検査をしているとの両論を併記した」という。欧州から見れば日本の検査数の少なさは異常に見えるのだろう。

ブルームバーグ(BB)も、検査数の少なさを指摘しつつ、検査数が多いイタリアより致死率が低いことも紹介。握手やハグの少なさ、手洗い習慣などを肯定的な要素として挙げている。BBの記事はおそらく日本人記者が書いたのだろう。内容的には独紙よりクールだ。こうした点についてWHO幹部のマリア・ファンケルクホーフェ氏は23日の記者会見で、「(日本は)インフルエンザなど既存の疾患発見の仕組みが機能している」と評価した。同氏は「検査徹底が最重要とする一方、検査数に表れない対策もあるとの認識を示した」という。これはつまり行動変容のことを言っているのだろう。個人的には日本のやり方に非はないと思っている。だが、その日本に、東京など大都市を中心にオーバーシュートの可能性が迫りつつあることが気になる。