東京都の感染者はきのう1日で47人増加した。過去最多である。これを受けて小池知事は安倍首相と会談、今後、政府と都が一体となって新型コロナウイルスの感染拡大に取り組むことで一致した。ここまでは想定通りの展開。この先もっとも注目されるのが首都東京のロックダウン(都市閉鎖)だろう。やるなら早いに越したことはない。後手が目立つ政府ならびに知事や官僚の対応から学び取る教訓はただ一つ、「先手を打つ」ことだ。小池知事は23日の記者会見で、「ロックダウン(都市封鎖)など強力な措置を取らざるを得ない状況が出てくる可能性がある」と発言している。おそらくこれは先手を意識した発言だろう。
25日の会見では「今、まさに重要な局面です」と事態が深刻であることを再確認している。そして、この発言の後に「仕事は自宅で」「外出自粛を」「夜間の外出も控えてもらいたい」と矢継ぎ早に自粛要請を行った。昨日は安倍首相と会談している。推測だがここで、おそらくロックダウンの手順を確認したのだろう。それでも今日現在ロックダウンは発動していない。どうしてか?ロックダウンすれば首都機能は停止する。首都機能が停止すれば経済に重大な影響が出る。コロナの感染防止を優先するか、経済機能を維持させるか、世界中のトップが躊躇した“悩み”に直面しているのである。
この2つは二律背反の状態にある。一方を立てればもう一方は立たなくなる。二律背反する要素を抱え危機的状態となった時に、“最適解”を提示するのが政治家の最大の責務だろう。トランプ大統領も同じ悩みを抱え、経済を優先したいとつい本音を吐露してしまった。経済が破壊されれば自殺者が出て死亡者が増えるという論理だ。だが、新型コロナを退治できなければ、明らかに経済は破壊される。二者択一の優先順位は明らかだ。徹底的に感染防止する以外に道はない。とすれば先手を打ってロックダウンに踏み切るしか手はない。中国も欧米のトップも、躊躇して後手を踏んだ。オーバーシュートした後でロックダウンに踏み切っても後の祭りだ。安倍、小池両トップに求められているのは、「先手を取る決断」だろう。