新型コロナウイルス感染症に対応するため、政府・与党が緊急経済対策として検討していた個人への現金給付額が3日、「1世帯30万円」で固まった。「1人あたり10万円」を求めていた公明党もこれを容認。一方、野党からは所得制限などを設けない全国民への給付を求める声が上がる。

 自民党の岸田文雄政調会長が安倍晋三首相との面会後、記者団に「30万円」を明らかにし、「スピード感が大事だと強く申し入れた」と述べた。自民党幹部は「新型コロナウイルスがひるむようなことをやらなくてはならない」と語り、十分な給付額を積み上げたと胸を張った。

 公明党は3月末の提言で、「家計に深刻な影響を生じている方々」に「1人10万円」の給付を求めていた。同党の石田祝稔政調会長は3日の記者会見で、30万円の給付額について「1世帯あたりの人数は大体2・27人。3人世帯なら30万円と計算がピタリと合う」と容認する考えを示した。

 一方、同党は子育て世代への給付増額を狙い、児童手当の上乗せを求める方針も確認。石田氏は「中間所得層にもう少し何かをすべきではないか」と述べた。

 野党からも、30万円の給付自体は評価する声が上がった。立憲民主党など野党統一会派は2日、政府・与党に「すべての国民に1人10万円以上の現金給付」を要望していた。立憲の枝野幸男代表は3日の会見で「金額が大きいことは、より深刻な状況の人にも対応できるので望ましい」と語った。

 一方、枝野氏は「お子さんら扶養家族が4人、5人の人もいる」とも指摘。所得に応じて給付を線引きすれば迅速な支給が難しいとの見方を示し、「国民ひとりあたりいくらで配ってしまうしかない」との考えを重ねて示した。(大久保貴裕、西村圭史)