きのうユーチューブで高橋洋一氏と長谷川幸洋氏の対談を見た。新型コロナ対策で自宅に引きこもっており、暇つぶしのつもりだった。だがそこで「驚きの発言」を耳にした。発言をしたのは高橋氏である。最近物忘れが激しくなっており、備忘録のために書いておく。問題の発言は新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言の発令がどうして遅れたのか、その原因を探る文脈の中で登場した。高橋氏はもと財務省の官僚である。小泉内閣ではかなり重用されていた人だ。その人の発言だけに聞き捨てならない。真偽のほどは定かではない。事態が終息した暁に、解明されるべきポイントの一つだろう。

急拡大するコロナウイルスに対応するため政府は、従来の特措法を一部改正して新特措法を成立させた。事前に与野党が合意しており3月13日に法案は可決成立。翌14日に施行された。本来なら施行と同時に対策本部が設置され、諮問会議の設立など各種の準備をするのが一般的のようだ。だがどういうわけか今回は、対策本部の設置が3月27日にずれ込んだ。「なぜ遅れたの?」、長谷川氏の当たり前の質問に高橋氏が答える。「役人的に考えると、忘れたのだと思う」。これを聞いて身の毛のよだつような衝撃が身体中を駆け巡った。高橋氏はその直前に、「対策本部は法律の施行と同時に設置すべきもの。すでに感染症の対策本部があり、看板を架け替えるだけ。自動的にできる」と発言している。

政府の専門家会議が3月19日に開かれ、20日からの3連休で感染が急拡大する恐れがあると警告した。桜の季節に重なり、コロナ疲れから国民の警戒感が緩んでいたい時期である。これを受けて大阪府と兵庫県は阪神間の移動の自粛を呼びかけている。一番危険性が高いとみられていた東京都の小池知事はどういうわけか沈黙したまま。連休明けから警告通り感染者の数が急増する。だが、政府はこの期に及んでも4月1日の発令を見送る。国民のイライラが募り、7日なってようやく重い腰をあげたのである。後手後手に回る安倍政権の遠因が「忘れた」ことにあるとすれば、国民は救われない。不手際は収まりそうになり。ピントがブレてボケボケの政権は、国民の命を危険にさらしている。